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SICKNESS, SLOGUN - American Violence

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(Ninth Circle Music, Circle of Shit/CDR×2)
来日ツアー記念、メタルボックス入り2枚組CDR。ステッカーやバッジも多数封入。このサービス精神の過剰さとこだわりは嬉しい。Disc1は各ユニットの音源であり、SICKNESSはバキバキのカットアップハーシュ、SLOGUNは吹き荒れるノイズの中で、エコーがかけられた力強いアジテーションが響くという各々のスタイルを手堅く提示する。

しかし、この作品の目玉はDisc2のライブ音源であろう。私が大きな衝撃を受けた2003年の京都でのライブである。あの日のライブは音楽以上に異質な空気を纏っていたと感じられ、個人的に忘れられぬものであったのだが、彼らにとってもベストなライブであったということだろうか。ライン録音のようであり、会場の音は入っていない。また、各ユニットともにイントロとしてSEを事後的に加えている。

SICKNESS/Chris Goudreauのトラックは犯罪報道のナレーションらしきものを導入に用い、攻撃的に責め立てるカットアップハーシュへと雪崩れ込む。一方SLOGUN/John Balistreriのトラックは催眠的なノイズを導入として用いてライブへとつなぐ(ライブ時の冒頭の挨拶はカット)。唐突にジェット機の発する爆音のようなトランスハーシュがスタートし、ジョンは過剰なエフェクトを使用せず地声で怒鳴りつけ、アジる。このSLOGUNのライブには途中からChris Goudreauもアジに加わる(前方で観ていたので、眼前で指をさされて怒鳴られた)のだが、こうして録音されたものを聴きなおすと、初期衝動のみでやっていたのかと思いきや、意外とコンビネーションを考えてアジっていたのだなと感心する。またバックの直線的ノイズもアジに合わせて頻繁に変化を見せており、全く飽きさせない。

このライブにおいてのシンボル化された暴力衝動の純度は極めて高く、集中して聴くほどに自分の中のモラルやリミットが剥ぎ取られような感触を覚える。その純度はライブの経過とともにさらに高まり、現実以上に絶対的な境地へと到達する。ノイズが音楽であることをある部分で越えるということ。ノイズによって現実以上に現実的な本質に到達するということ。結局現実などというものは、外界の表象を自己の頭の中で構成したものであり、最終的に個人の思惟に属する。個人の論理的思考も妄想も、現実と等価なのである。ならばノイズによってモラル/良識/観念といったものを揺るがし、打ち倒し、現実よりさらにリアルな現実へ思惟を至らせることは出来ないだろうか(そこでは個人の意志のみが唯一の価値を持つ)。これはまさしくそのような音楽であろう。間違いなくパワーエレクトロニクスの大傑作である。

ライン録音ゆえに会場の音がないので、あの日の状況を付け加えると、ライブそのものはJohn+Chrisと観客が睨み合うような構図となっており、殺伐とした乱闘の直前のような空気を感じた。それでもラストまでは何事もなくきたが、終盤においてアジが一段落したところで二人と観客との間で衝突が起きそうになった。それはハードコアのライブで見る「お互い分かったうえでの暴れ合い」といったものとは少し違っていたように感じた。ライブは終了というより、中断といった感じの終わり方であったが、それはまるで演出されたかのように、彼らの音楽に相応しいものであった。

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2007年04月04日 23:41に投稿されたエントリーのページです。

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