
(Revenant/CD)
チェンバー・ドローンあるいはエレクトロニクス・ドローンを構成物とすることにより、大きなスケールでの循環を得意としていた初期の仕事を経て、この作品ではアコースティックギターとハーディーガーディーのみが用いられている。孤立したアコースティックギターと密集したハーディーガーディーの対比、それは帯解説文(REVENANT盤)にあるようにジョン・フェイヒーとトニー・コンラッドの関係性を探る仕事である。冒頭の10分はゆったりとしたアコースティックギターの演奏。ミニマルな弛緩したメロディを淡々と爪弾く。その後、ハーディーガーディーの持続音へ徐々に移項してゆくという展開。両者ともに音の構造(反復と持続、どちらもミニマリズムで括れる。)は同じだが、前半と後半で使用される楽器、語法が違う。その方法論もさることながら、後半のハーディーガーディーの産み出すノイズの凄いこと。これぞハードコア・ドローン。密集したぶ厚い軋みはオルガナムを軽く凌駕する。ノイズ的視点からみても、この音の豊穣さは絶品。ガリガリと引っかかる軋み音と多層的な持続音が一際大きくなる39分以降はまさに極楽。手回しハンドルの力の入り具合がリズムのようにも聞こえる。そのまま更にドローンは上昇し、やがて消えてゆくのだが、その中から再びアコースティックギターが浮かび上がり、大きな循環は最後に大円団を迎える。まるでCDレーベル面にデザインされた真円のように。間違いなく彼の最良の仕事。96年の大傑作。オルークにとって重要な2つの要素、ミニマリズムとアメリカ的なるものの結合。さらにそれを「幸福な日々」と題するセンス。これだけは聴いて欲しい。