若松孝二のほとんどの初期作品を観た。私が好きなのは「性賊・セックスジャック」と「天使の恍惚」である。どちらもひとりの人間による個的な闘いがテーマである。これらが好きな理由は、単に私のなかにあるヒロイズムへの憧憬なのではないかと思う。そういえば「タクシードライバー」も好きな作品だ。ここで描かれているものは破滅の美学などという空疎なものではなく、ひとりの人間が状況の中でどこまで個的なスタンスを貫徹できるのかという試行である。…私がこれらの映画を観ることは、それが出来ない自分を慰める行為であることは認めなければなるまい。
他人に裏切られるよりも、速いスピードで自分を裏切らなければ
人殺しひとつ、犯罪ひとつ出来やしない
薔薇色の連帯、それはまず裏切る自分を殺し
同志を殺してゆくスピード以上の冷徹な力が、相集まること
その自分だけの力を、相集まった力と同等に信じること
裏切る以上に強いことを知ること、そうすれば死ねる
「性賊・セックスジャック」