ベルギーのノイズユニットClub Moral(Bum Collar)のサイトにて、Club Moralのリリースや関連作がまとめてアーカイブ化されており、しかもその多くがダウンロード可能という状態にある。すでに昨年一年を通して49作品が紹介されている(「Fur Ilse Koch」のデータはSusan Lawlyのクレームにより削除された)。まだ全ては聴いていないが、古典的なノイズ・インダストリアルから、奇怪なテクノポップ〜ノーウェーブまで、時代の空気が満載。
そのなかでも目を引いたのが、Club Moralも参加したVA「White Power」である。本作はタイトルからして正面より極右的イメージを題材とし、それに取り組んでいる。ただし政治的なバンドのように作家自身がそれを本気で掲げるのではなく、いかにも80年代ノイズらしい手さばきによって反社会的/反モラル的記号をその本来の文脈からズラして、そのネガティヴなインパクトを固定された社会空間を変質させる道具として使用しているように思える(当時16歳であったフィリップ・ベストの真意は分からないが)。社会空間を客観視し、そこに悪趣味な罠を仕掛けてゆくようなやり方は既に古典もいいところだが、現在の文化的テロリストたるパワーエレクトロニクスやマーシャルインダストリアル〜ネオフォークの復古主義的なやり方と比較すると、その極端なデフォルメによるトリックスター性が際立つ。